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ゴツンという音とともにサキが顔を歪める。
「聞いてんのか?」
殺気のこもった低い声に彼女はコクンとうなずいた。
彼は髪を握る手に力をこめ、壁に強く押し付けた。
顔が上がり2人の視線がぶつかる。
「目見て返事しろよ。
…また、痛い思いしたいの?サキ。」
その言葉に彼女は悔しそうな表情を浮かべ、小さく口を開いた。
「すいませんでした。」
彼は髪から手を離した。
そして壁に強打した後頭部を軽く触る。
「俺が戻ってくるまで部屋から出るなよ。」
そう言って頭から手を離すと、部屋を出ていった。
サキは扉の閉まる音が聞こえると、壁に寄り掛かったままズルズルと座り込み両手で頭を抱えた。
「いってぇ。くそ、“リョウ”の野郎。死んじまえ。」
ひたすら暴言を吐いた後、深いため息をつきながら顔を上げた。
「…これが愛してる人にする行為かよ、まったく。」
あぁ…
今日は本当に
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