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海里とは半年前に出会った。
もちろん声をかけたのは俺だ。
その日もいつもと同じように女を抱いて、血を吸って、空腹を満たそうと思ってた。
その頃の俺はマッド程ではないが、荒ぶっていたのは事実だ。
喉が渇いて、腹が空いて、飢えて飢えて仕方がなかった。
だから、誰でもよかった。
「ねぇ、俺と良いことしない?」
その声に振り向いた女は、上品そうな顔をしていた。
汚れなんか知らない綺麗な顔だった。
だから絶対軽蔑されると思った。
でも、あいつは
いいよって言ったんだ。
びっくりしてしばらく黙ってた俺に向かって海里は、自分から誘っておいて何驚いてるの?って
笑いながら、挑発的な色っぽい目線を送ってきた。
そのとき初めて知った。
この世の中にこんなに綺麗な目をする人間がいたということを。
俺が今まで見てきた女の目は皆くすんでいた。
女だけじゃない。
男だってそうだ。
それに自分もそうだと思っていた。
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