6.

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「どうして?」 俺はこの質問に答えられなかった。 「何か言えないわけがあるのね。」 海里はそう言って俺から離れた。 そして背を向けて窓のそばに立った。 「ごめん。」 唐突に部屋に響いた声に彼女は振り返る。 「なんで…謝るの?」 「俺は… 俺は吸血鬼なんだ。あんたの血を吸おうとした。 でも…もういい。」 2人の間に長い沈黙が流れた。 先に口を開いたのは海里だった。 「ふぅん、そうなんだ。吸血鬼…現実にいるんだ。」 特に怖がる様子のない彼女に向かって俺は淡々と言った。 「吸血鬼とキスをすると契約が交わされる。」 「契約?」 海里は振り返って言った。 「キスをされた女は、した奴しか受け付けない体になる。」 俺はベッドに腰掛けて、海里を見ずに言った。 「他の奴に吸われたら死ぬ。 そして、もしその吸血鬼が他の女と新に契約を交わしたら…前の女との契約は破れ、そいつの寿命が半分になる。」 俺は自嘲気味に笑った。 「圧倒的に女は不利な話だよな。だから、顔は近付けるな。」
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