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「お母さん!!お父さん!!」
人々の叫び声と共に聞こえてきた少女の声。
その少女は血だらけで突っ立っている男女の元に駆け寄った。
お父さん、お母さんと何度も呼びながら体を揺する。
女がゆっくりと少女を見て、涙を流しながら呟いた。
「…××……ごめ…ん…ね。」
そして手に持っていた包丁の刃先を少女に向け、降り下ろした。
叫び声が頭でこだました。
痛い…痛い痛い痛い…!!
サキは飛び起きた。
荒い息と異様な汗。
まただ……
また…あの夢……
たまに見る、少女の夢。
「くそ…思い出せない…。」
頭に残っているのは鈍い頭痛で、今見た夢の内容は霧がかかったかのように曖昧にしか覚えていない。
耳障りなざわめきと涙を流している女。
Tシャツの胸元をギュッと掴んで荒い息を整えながら、女の顔を思い出そうと目をつぶる。
「うっ…」
途端にズキっと頭が痛んだ。
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