156人が本棚に入れています
本棚に追加
/174ページ
サキは薄暗く電気の灯る部屋を見渡した。
ERASER達は狭くて暗いが自室を与えられる。
彼女の部屋はボスの部屋に一番近い所にあった。
机と椅子、ベッド、クローゼットそして金庫という殺伐とした部屋である。
サキは布団から出て、まだ痛む頭を押さえながら椅子にかけてあった黒いカーディガンを羽織った。
時刻は午前5時過ぎ。
もうすぐ夜が明ける。
サキは鍵を開け、ドアノブを回して部屋の外に出た。
ヒンヤリとした空気が体にまとわりつき、静寂が耳を貫いた。
彼女は右へと歩き出した。
目的地のトイレにたどり着くと、水道をひねって冷たい水で顔を洗った。
それでもまだ頭痛は消えない。
勢いよく流れる水を止め、タオルで顔を拭いた。
そして鏡で自分の顔を見る。
「目が死んでる。ひどい顔。」
サキの声が寂しく響いた。
その瞬間小さい物音が遠くから聞こえてきた。
最初のコメントを投稿しよう!