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カンザキは少し顔をしかめた。
「外出て休憩所で待ってろ。」
そう言って彼は片付けを始める。
「で、夢の内容はこの前と一緒か?」
修練場の真向かいにある休憩所で、缶コーヒーを飲みながら彼は聞いた。
「ほとんど一緒。ちょっと生々しかったけど。」
サキは少しだるそうに答えた。
「生々しいって何が?」
「包丁とか、まるで自分に刺さったみたいだった。」
そう言ってサキはおなかをさすった。
「それに、女の顔が少しはっきりしてた。」
カンザキは黙って、うつむいたサキの後頭部を見つめていた。
俺はボスに頼まれてずっとサキの面倒を見てきた。
だから、こいつがどういう人生を送ってきたかよく知っている。
サキがたまに見る夢…
それは…
こいつが殺し屋になった理由…
そしてこのことは俺とボスしか知らない真実。
「でもお前、ボスには言ってないんだろ?」
「何を?」
突然聞こえてきた声に2人は顔を上げた。
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