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「…ボス…」
休憩所の入口に眠そうな顔をして彼は立っていた。
「カンザキ、今日出掛けるからお前も来い。」
「あ…はい。」
「30分後に俺の部屋。」
カンザキはサキをチラッと見て、了解しましたと言いながらその場を立ち去った。
サキは聞かれたくない人に聞かれてしまったと考えながらうつむいた。
リョウは彼女の目の前でしゃがみ、顔の位置を合わせた。
「…どうした?」
いつもと違う柔らかい声にサキは顔を上げて彼の目を見た。
強い光を灯す漆黒な瞳と視線がぶつかる。
「何みとれてんだよ。」
笑いながら彼はサキの隣りに座った。
「見とれてませんよ。」
2人の間に少し沈黙が続いた。
「俺に隠し事するのか?」
彼女は深くため息をついて、しぶしぶ話し始めた。
今日見た夢の内容と、過去にも何回か見たということや、腹や頭に鈍い痛みが走ることなど全てを話した。
「そうか…なんで黙ってた?」
「これ以上、心配事を増やさない方がいいかと。」
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