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ふと横に顔を向けるとすぐそばにアリヤの顔があった。
さっきの元気で明るいほほ笑みではなく、妖艶な笑みを浮かべている。
サキは無表情でその顔を見つめた。
アリヤは彼女の目をまっすぐ見つめ、表情を変えずに口を開いた。
「でも、あなたのそういうところ…俺は好きですよ。」
彼女はまじまじと目を見つめた。
口を開こうとした瞬間、彼の表情がパッと変わりさっきまでの明るい笑みになっていた。
「さ、行きましょう、サキさん。僕練習して早く上手くなりたいです。」
そう言いながらドアを開ける。
「…あ、じゃあ、先に入ってて。準備するから。」
「わかりました。」
そう言って中に入っていく彼の背中を目で追い、ドアが閉まったあと、サキは振り返って用具棚に手をかけた。
……………
…なんなんだ、あいつ…
さっきの顔…
何か…心の奥を見透かすような…そんな表情だった。
しかも一人称が僕から俺に変わってたし…
雰囲気も…全然違った。
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