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動かしていた手を止めて、後ろを振り返る。
ここは準備室で、耳栓や銃弾が置いてある。
隣には柔道場もあり、組手の練習もできる。
射撃場と繋がっているのは扉一枚だけだが、そのドアの横はガラス張りになっていて中の様子が確認できる。
だが、中から準備室を見ることはできなくなっている。
そう思っていると、アリヤがこっちを向いた。
彼女は驚いた。
彼はサキと視線を合わせ、あろうことかニコッと笑ったのだ。
サキは棚に向き合って準備をするふりをしながら考えを巡らした。
…意味がわからない、あいつ……
まさか…気のせいだよな…?
「どうしました?」
背後からいきなり聞こえてきた声にサキはわあと声を出し、耳栓を床に落とした。
「大丈夫ですか?」
彼は慌てて拾った。
「すみません、驚かしてしまって。」
彼は申し訳ないという表情でサキに言った。
「へ、平気だよ。」
いろいろ聞きたいことがあったが、彼の顔に特に異常はなく、雰囲気も自然だ。
「これ、何が入ってるんですか?」
彼はアタッシュケースを指差して言った。
「ああ、私の相棒だよ。」
「相棒?あ、サキさんのリボルバーですか?」
サキは薄いほほ笑みを浮かべてうなずいた。
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