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サキはリボルバーを鏡に向かって構えた。
体は微動だにせず、鏡に映った自分の額にまっすぐ銃口を向けた。
そしてさっき額に当てられた冷たいそれを思い出した。
仕事柄、銃口を向けられることはあまりない。
だから体がざわざわして、自分が死に直面している感覚を味わったようで、逆に冷静になった。
自分の状況を客観的に見るように思考が引いていった。
不思議な感じだ。
カンザキの行動は昔から訳がわからないときがある。
きっと暇だったから構いにきただけだろう。
少しバカバカしくなって、サキはふっと小さく笑った。
時計を見ると12時5分前だった。
ゆっくりとリボルバーを下ろしてまたそれを眺めた。
「サキ、準備できたか?」
噂をすれば影。
サキはリボルバーを机の上に戻すと黙って扉を開けた。
カンザキは白いスーツを着ていた。
そしていつものオールバック。
自分の部屋に鍵を閉めてくるりと振り返る。
「カンザキさんのあほ。」
そう言い放ちサキはボスの部屋へと歩き出した。
「うわ傷つくわー。いきなりなんだよ。」
少しも傷ついただなんて思ってない口調。
そういうとこがムカつく。
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