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「お前ムカつくって顔に書いてあるぞ。」
サキは彼を無視してボスの部屋の前に立った。
ノックをしようと手を出したがためらった。
「…やっぱり嫌だ。」
そう言って彼の後ろに回った。
それを見て顔をしかめたカンザキは、まったく…と言いながら扉を叩いた。
「失礼しまーす。」
「失礼します。」
見たくないけど見るしかない。
そう思って顔を上げると、考えてもいなかった人物が目に入った。
「こんばんは、サキさん。」
会いたくなかった人ベスト2…
「…やあ、アリヤも呼ばれてたんだ。」
穏やかな彼の瞳を見つめながら冷静に答える。
彼は不敵な笑みを浮かべていた。
きっと、私が心で何を考えているかお見通しなんだろう。
嫌な奴…この組織には嫌な奴ばかりだ。
アリヤも真っ黒なスーツを着ていた。
カンザキと同じで様になっている。
スーツは時にその人を大きく見せることがあるが、彼の場合は大きさを抑えている様に見えた。
あなどれない奴だ。
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