9.

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「ボスいねぇのか。」 いつも彼が座っている椅子を見ながら呟いた。 「もう少し待っててくれってさっき出ていきましたよ。」 そう言ってアリヤはあくびをした。 サキやカンザキはたまにこの夜遅い時間にも任務が入ることがある。 しかし、まだ入りたてのアリヤは経験したことがないのだろう。 夜の任務はより集中力が必要だ。 「ふ~ん、そうか。 ユウマ、お前なんか企んでないよな?」 カンザキはアリヤの顔を覗き込みながら突然言った。 「なんですかいきなり。」 「もしやお前サキのこと狙ってるんじゃないだろうな。だとしたら残念、サキには俺という…痛い痛い痛いってば。」 サキは彼の頬を力の限りつねった。 「別に、僕は相手が誰だろうと欲しいものは手にいれますよ。」 アリヤはサキを見ながら言う。 射抜くような彼の瞳にサキは少したじろいだ。 やっぱりあの目は慣れない… 「へぇ、やる気じゃん。なんなら一発勝負でもするか?」 「嫌ですよ、僕は奪う方が好きなので。」 「うえ、ムカつく。なぁサキ?」 「ウザい。」 同意を求めてきたカンザキを見ずに彼女は冷たくあしらった。
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