愛を食いちぎって。覚悟を決めたって。

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メタモルフォーゼのあるスタッフ様が御薦めしてくるバンドのライブに行くことにしたのです。 音源は聴いておりません。 楽しみが半減するような気がして。 ヴィジュアル系バンド。インディーズ。マイナー。結成一年。お耽美。曲は激しく切ない。 この辺りしか存じません。すべて又聞きしただけ。 急に行けなくなったとかでチケットが余ってるらしく、私に白刃の矢が立ったのです。 ライブハウスの前に着くとピンクや白のロリータもいますが、やはり圧倒的にパンクな方が多いこの現状。 私はパンクもゴシックも好きなので寧ろ嬉しいですが。 私が来た時間がギリギリだったのか会場スタッフが号令をかけます。 「番号順に並んで下さーい」 整理番号はファンクラブのものらしく、二桁でした。 今の今になって少しドキドキします。 胸が躍ります。 会場入りの時間が来ました。 列が徐々に前に前に進んでいき、会場内に入れました。 ゴシック調のステージが怪しく照らされています。 ライブなど、私は一度も体験したことがなかったので、公演までの待ち時間さえ新鮮なのです。 暫くすると照明が更に暗くなりました。 ライブが始まったようです。 ──私は、このライブですっかりヴァイオレットにハマってしまいました。 ボーカルのやな、ギターの真、ベースの綾女、ドラムのURI。 すっかりファンで、グッズもいっぱい買いましたし、サイトやウィキで調べました。 彼らの容姿も耽美的で、どこかヴェルサイユを彷彿とさせる様で惚れ惚れしました。 曲はヴェルサイユの優美さ耽美さはどこへやら。かなり激しいパンクにも似た曲調のものばかりで歌詞も直接的なエロチシズム。 そのギャップにまたクラクラとしてしまうのです。
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