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「なぁに?あの女。真の友達?」
「バンドのファンの子だけど──梨花…何で俺の家知ってんの?気持ち悪いんだけど」
「アッハハ!ストーカー?ダメだよー?可愛い顔して。それ犯罪だから!」
「てか何か用?家まで来るとかよっぽどじゃん」
「その女…」
「ああ、エミカは俺の嫁さんだけど?」
嫁?嫁?ヨメ?よめ?何それ何それ何それ何それ。よめって何?妻ってこと?奥さんってこと?はぁ?私とあんなことしたのに奥さんいるの?有り得ないんだけど。
「真さま…私、赤ちゃん出来たんだー」
「ほんとーおめでとうーそれ言いにきたの?」
「真さまの子だよー」
「…は?」
真様は何を言っているのか分からない顔をします。
隣の女はじろりと真様を睨みつけました。
「何それ?詳しく話してよ」
女は胸倉を掴み、真様に説明を求めます。
「いや…梨花、何言ってんの?勘違いじゃない?俺達普通のファンとバンドマンじゃん。ファンクラブ限定イベントで一緒に飲んだり食べたりした程度じゃん、何で子供が出来るの?有り得ない」
嘘ばっかり。真様の嘘付き。狐に摘まれたみたいな顔したって嘘なのバレバレなんだからね。隣の女もどうせ遊びでしょ?わかるよ。そんなの分かりきったことじゃん。ねぇ、ねぇ、ねえ!あの夜のことは本当だったって認めなさいよ、ねえ!真様…真様…。ねえ真様。
私はぽろぽろと泣き出してしまいました。
泣き出すつもりはなかったのだけれど。
「ねぇ…この子何か気持ち悪いよ…何か正気じゃない…いこ…警察に相談しよ」
「うん…──」
女が言い、真様が立ち去ろうとした直後です。
私は無意識に女を刺していました。
隠し持っていたカッターで。
刺して、抜くと血がどばっと出ました。
「ひぃっ──」
真様は腰を抜かします。
気にせず私は真様を刺しました。
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