秋の空

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「女心と秋の空ってさ、お前にぴったりのコトワザだよな」 そう言った途端、秋奈のものすごく切ない溜め息が屋上のコンクリートに染み込んだ。 ……げ、何かマズイこと言ったか? 俺は慌てて言葉を継ぐ。 「悪ぃ、深い意味はないんだよ。なんとなーく言っただけでさ」 「うん、わかってる。でも……私ってそういうイメージなのかなぁ、って思って」 秋奈は、俺から視線をふっと外して立ち上がる。シンプルに括られた長い黒髪が、姿勢のよい背中にゆっくりと落ちた。 ヤバイ。 秋奈の表情、仕草はいちいち俺の胸にクリーンヒットする。しかも、長めの制服スカートが肌寒い風に煽られているのは、べた座りの俺の顔のほとんど真右だし。 思わずそちらを向き、3秒ほどフトモモに見とれてからハッと我に返る。 いよいよヤバイ! 俺はじりじりと顔を上げる。 揺れるスカート、細い腰に少し緩めの白いブラウス、ボタンのラインをたどっていくと、胸元には綺麗に結ばれた深緑のリボン。華奢な顎、何かを言いかけて止めたような半開きの口……そして、大空を見つめる大きな瞳。 俺もつられて更に視線を上げた。
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