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秋奈と俺の頭上には、澄んだ晴れ空。吸い込まれるほどに青く、青く、宇宙が透けて見えるってこんな感じか。
秋奈は、あの黒く濡れた瞳で何を見てるんだろう。
そして、何を感じてるんだろう。
頭に浮かんだことがすぐ口に出てしまうような俺じゃあ、さっぱりわからない。
こんなに親しい存在なのに絶対手が届かない、その深さは無限大。
俺は、性懲りもなくまた思ったままを喋ってしまう。
「ほら、俺にとっちゃさ……ちょうど今の空みたいなカンジなんだよ、お前って。これ、俺にしちゃ珍しく詩的な褒め言葉――」
脳天直撃の平手打ちが落ちてきた。
「そういう無教養なところ、私、ダメなの!」
お、怒らせてしまった。
何でだ……?
黒髪を揺らしてぷりぷりしながら去っていく秋奈を、俺は呆然と見送るしかなかった。
2009/09/29
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