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途方に暮れていた。
もう随分の間、僕は当たり前のようにここにいる。だが、正直言うと、ここがどこなのかよくわかっていない。
ただ、ダークグレイの地面に膝をつき、猫背から首が落ちそうなほど項垂れていることだけは確かだ。
いや、確かなことならまだある。
両手首はビニール紐のようなモノでこの上なくきっちりと縛られ、両足には鉄の冷たさを持つ重り。全身には南京錠や太い鉄鎖がこれでもかと括りつけられているのだが、これは実はあまり役に立っていない。
もう体中がとうに痺れていて、動きたくても動けないのだから。
……あ。
こんなことを考えたら、僕を捕らえた誰かは怒るだろうか?
僕は真面目に捕まっているべきなのかもしれない。
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