プロローグ

2/4
前へ
/50ページ
次へ
    「お焼香って、どうすればいいの?」 前にいた葉月が、不安を圧し殺した声をだした。 一直線に連なった列の間から、ちらほらと人が振り返る。 もうすぐ、わたしたちの番だった。 「わたしのところでは、一回お香をつかんで、手をあわせるけど」 「……それだけ?」 葉月はあからさまに眉間を寄せた。 ごつごつとオプションをつければ丁寧になるというのは錯覚だ、とわたしは思う。 「わたしの流派では、そうだって話よ。ここではどうか知らないけど……」 「郷に入れば郷に従えって言うじゃない」 「郷がわからないんだから、従いようがないでしょ」  
/50ページ

最初のコメントを投稿しよう!

32人が本棚に入れています
本棚に追加