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美里は取締役であり経営陣だから、いざとなったら責任を取る事が出来る立場だが、陸は雇われの身なのである。
先だって主任に昇格したとは言え、個人的な感情で取引先の良し悪しなどを決められる立場ではない。
もちろん陸も、そんな事は分かりきっているからこそ、こうやって我慢しているのだ。
その陸の苦労を無駄にはしたくない。
『頑張って、陸』
美里はドアの前から、こっそりと陸にエールを送った。
本音を言えば、こんな風に他の女に時間を割いてなど欲しくないが、陸の立場を考えたら、自分には黙っているしかない。
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