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近頃、よく陸は夜中に電話で話している事がある。
相手はいつも同じ、取引先の女性社員だ。
「なんでクライアントの社員が、こんな夜中に電話してくるのよ?」
初めて陸がベッドを抜け出して電話で話しているのを見つけた時、美里はそう言って詰め寄った。
「知らねぇよ。俺だって困ってんだから」
「だったら、“夜中に迷惑だ”って言って切ればいいじゃない」
「無茶言うな。大口の取引先なんだぜ、無下に出来るかよ」
不機嫌そうに言う陸に、美里はその時、それ以上は何も言えなかった。
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