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美里は静かにベッドを降りると、息を潜めてドアに耳を近付けた。
「…そうじゃないんですけど」
微かに陸の声が聞こえてくる。
「いや、話をするのが嫌とかじゃなくて…明日も会社だし…」
どうやら陸が電話を切ろうとした事を、相手が不満に感じて文句を言っているようだ。
「竹下さんだって仕事でしょう?もう寝た方がいいんじゃ…」
『何だか随分と苦戦しているみたいね』
美里が思わず苦笑いをする。
それこそ始めは、こんな夜中に電話してくる、その“竹下”と言う女性と陸が浮気をしているのではないか、と疑っていた。
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