episode1

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美里は静かにベッドを降りると、息を潜めてドアに耳を近付けた。 「…そうじゃないんですけど」 微かに陸の声が聞こえてくる。 「いや、話をするのが嫌とかじゃなくて…明日も会社だし…」 どうやら陸が電話を切ろうとした事を、相手が不満に感じて文句を言っているようだ。 「竹下さんだって仕事でしょう?もう寝た方がいいんじゃ…」 『何だか随分と苦戦しているみたいね』 美里が思わず苦笑いをする。 それこそ始めは、こんな夜中に電話してくる、その“竹下”と言う女性と陸が浮気をしているのではないか、と疑っていた。
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