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「さすが、よくご存知で」
香川が冗談めいて言ったが、美里は笑わなかった。
「で、誰なんです?なんか言いにくそうですけど、ひょっとして、私があまりよく思ってない人物ですか?」
「まいったな、それもお見通しか」
「長年一緒に仕事してますからね。社長の性格は理解してます」
「確かに…」
軽く頷いた後、香川は意を決してある人物の名前を口にした。
「…本気ですか?」
「ああ、美里がこの話を受けないなら、その人に会社を受け渡すつもりだ」
「冗談でしょ。あの人が社長になったら、今いる社員のほとんどが辞めますよ?」
「…お前もか?」
「ええ、おそらくそうなるでしょうね」
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