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「それでは今から必要な書類を手元に配りますので、説明するまで目を通しておいて下さい」
高校の教室と同じサイズの部屋の教壇に、
中年の優しそうな男性が立って説明している。
白いYシャツに紺のパンツが、この自動車学校の教官の制服のようだ。
「なんか緊張するね…二週間なんて長いよ…早く帰りたいね、真琴」
あたしの横に座って小声で喋りかけてきた、ボブの女の子は一海(カズミ)
ちなみに真琴はあたしだ。
そう、あたしと一海は今、住み慣れた街を離れ、はるばる海を越えて…
は、ちょっと言い過ぎだが、自動車免許合宿に着ている。
免許をとるために二週間も合宿して、ひたすら教習の日々…
大学四年生のあたし達の貴重な夏休みを費やすのだから、憂鬱で仕方なかった。
今はその入校式の真っ最中
「確かに…もはや帰りたいね」
教官に見つからないように
小さな声で相槌をうつ。
ちなみに一海と違ってあたしはロングにパーマ。
周りの他の入校生を見渡すと、
なんだかみんなおぼこくて、年下っぽい…
やっぱり車の免許だから、みんな18~20歳てところだろうか?
22歳の一海とあたしは、最年長ぽい。
うまくやっていけるかな?
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