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周りが華やかなテレビの世界や航空会社に内定が決まっていくなか、香苗は(別の世界の人)と線引きをしていた。
『コピーが終了しました。』
コピー機から、やたら発音の良い日本語が聞こえてくる。
『田代さん。コピー終わってるよ。』
同期の大久保に言われ、終了のサインが点滅するコピー機に気付く。
『すみません。ぼ-っとしてて…。』
『頼むよ。田代ちゃん。こないだも同じセリフ聞いたぜ?』
『はい…。すみません。』
『ま、月末で忙しいのは分かるけどね。』
そう言って大久保は、ポケットから取り出したキャンディを2つ香苗の上着のポケットに入れた。
『あ、ありがとう…』
お礼を言い終わる前に大久保は去っていってしまった。
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