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内「なんで…」
亮「なんで…自分の事知ってるかって?」
怖い…
内「お…おん」
亮「知っとるよ。ずっと前からな」
笑った。
さっきまでの表情とは裏腹な笑顔にドキリとした。
…この人…
多分悪い人やない。
桃「ずっと前から…」
黄「俺、『ロマネスク』の常連様やで」
桃「え!!えっえっ!しらん!しらんっ!」
こんな男前、頻繁にかよっとったら忘れるわけない。
黄「結構、行ってたんやけどなぁ~ショックやわ」
俺の働いていたbar
『ロマネスク』
言っておくが、
このbarは普通とちゃう
俗に言うゲイバー。
そこで俺は働いとった。
でも、目の前にいる男にはいまいち見覚えがなかった。
常連の顔は大体把握しているはずだったのに…
桃「す…すみません」
黄「嘘や嘘。常連ちゅうのは。一度な、会社の上司のやけ酒に付き合わされて行っただけや」
桃「…でもなんで俺の事」
黄「まだ自分、新人やった時の事覚えとる?」
桃「…いや…覚えとるかは…」
黄「まだな接客もまともに出来ないのに一生懸命働いてたやろ?楽しそうに…笑いながら仕事してた。周りの奴等もそんな博貴ばかりみとったで」
桃「…」
黄「そん時、俺らはカウンターにすわって…お前にカクテル頼んだんや。そしたら自分な『カクテルまだ作らせてもらえないんで…』ってな」
桃「…」
黄「そしたらな、ウチの連れが『そんなんどうでもええからはよ、お前が作らんかい』って怒鳴りよってん」
何となく思い出して来た。
桃「もしかして…俺がシェイカーすっとばして、頭からお酒かぶった…」
黄「あん時は家帰るまでベトベトやったんや…どう責任とってくれるん?自分?」
いやいや!いやいや!
二年も前の事、今更言われても困りますわっ!
しかも、この人…
以前、頭からお酒をかぶせた人と雰囲気が大分替わっていた。
その時の彼はビン底眼鏡に、初々しいスーツやった。髪の毛もオールバックで…
イケてない奴やな…。
と思った記憶が蘇って来た。
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