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桃「あの時は…すみません」
もう雨は上がっていた。
立ち話もなんだから、と喫茶店に案内された。
…俺はなんで名前も知らないこの男とコーヒーを飲んでいるんや??
と少し疑問に思ったけど、
死のうと思っていた所を助けてくれた恩もあるし、
この人との出会いを大切にしたいという不純な思いもあった…
今し方、恋人と別れたばかりだというのに。
彼は買ったばかりのコーヒーを持って席に着く。
黄「…あ!自己紹介せんかったな」
遅すぎです。
桃「はい」
と鞄の中から名刺を取り出す。
桃「『ITALIAN L'a eight…接客マネージメント』…『錦戸亮』さん…」
黄「知っとる?」
桃「知っとるも何も!俺、eightって…アイツと…」
黄「…」
桃「…アイツと行く予定やったから」
黄「アイツって恋人?」
桃「恋人だったヤツや」
黄「俺やったら、博貴みたいなヤツ…絶対ほっとけんけどな…そいつ、ホンマにアホな奴やなぁ」
はにかんだ笑顔で俺を見つめそう言う。
ドキリ…
胸が痛んだ。
昔の恋人に対してじゃない…
目の前にいる錦戸という男の言葉に胸が痛んだ。
嫌…と言う気持ちではない。
むしろ…嬉しいと言う気持ちで一杯。
まだ話す事も初めて…
でもなんだか居心地がとてもいい。
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