一回戦喜多川二高

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モスについた二人はサッカーのことから学校のこと 誰々先生がおかしいだの もう数学は勉強したくないだの他愛のない会話で盛り上がった 夕刻のせみがなく 二人はしゃべる 時間だけが流れてゆく 二人の思い出に残るせみの鳴き声をみゆきは愛していた 『あのさ…私とよしとの思い出にはいつもせみがいない?』 『そうか?ただ大会が夏で俺とみゆきがあったのが夏だったから. それ以上に?』 『うん,だから私せみの声を聞けば辛くても頑張っていこうって思えるんだぁ』 『せみなんかでそう思えるなんてみゆきも心がおだやかなんだな』 『ちょっとそれどういう意味よ!』 でもたしかにあの小学三年生の時,階段でよしと達のサッカーをみながら‘せみ’をきいていたのは間違いなかった 『おっ!もうこんな時間だ!かえんなきゃ』 『わっ!ほんとだっ!』 夜9時は回っていた 外にでたみゆきとよしとはは夜の静けさにすこし昼とのギャップを感じながらもかえっていった
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