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振り向いた時すぐに分かった、頬を伝う涙。
胸からドキッと音がした。
それが俺を見た途端大粒に変わり、顔を伏せると雨みたいに歩道に落ちた。
『さ……』
『お、おはよ憂希』
『さえ』
『何でもないしっ!!先行くね!!』
待っててくれたはずなのに、まともに喋らせもしないで走り去る。
背中でバタバタ揺れてるギターケースが、ランドセル時代を思い出させた。
ウルッとしてるどころの騒ぎじゃない。
本格的に泣いたのなんて小学生以来見たことねーよ。女子の涙の破壊力、ぱねぇ。
……あっ、もしかして。
焼き肉は遠くなるかも。
♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪
最笑とはクラスが違うから、休み時間か放課後に様子を見に行こう。
何があったか知らないが、まさか大好きな軽音部は休んだりしないだろ。
気になって仕方ないけど、俺は自分のクラス……どうした事かやたら賑やかな奴ばっかり集まってる、普通科二年C組へ。
最笑もそうだけど、このクラスも平和でうるさい奴が揃ってる。そうじゃないとお話が作りにくいからな。
オッスとか言って教室に入ろうとして、俺はすぐに気付いた。
な、なんかおかしい……?
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