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「あいつ……明日驚くだろうな」
そんな事を考えながら、生きてる人の月山を今日の朝死んで鬼となった陽は見送った。
「………?」
月山が見えなくなった頃、陽は自分の後ろになにかの気配を感じた。
「なんだ?」
陽が後ろを振り返ると、そこには、
黒い塊が在った。
その黒い塊は学校の廊下にとがった三本足で立っていた。大きさは直径2~3mぐらい。そして、その表面には人を一人丸飲みにできるほどに大きく、悍ましい口だけが張り付いていた。
そんな異形の怪物を目の前に陽がとった行動、それは……
猛ダッシュ。
月山いわく、頭より体が動く単純バカである陽は目の前の怪物を危険と判断し即座にその場から逃げ出した。
その結果、先程月山が帰って行った道をまったく同じように爆走するはめになってしまった。
黒い怪物は三本の足を器用に使い、陽が駆ける速さとまったく同じ速さで追いかけてくる。
怪物から逃げるために必死に駆ける陽。
「あれ、全然疲れない。それどころか汗ひとつかいてない」
当たり前である。
なぜならば陽の身体はすでに無いのだから。
魂だけの存在となった彼には、肉体による制限というものが無くなったのだ。
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