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「生き……神?」
クラスメートの意味不明の言葉。
神という単語の意味は知っているし、それがどういう意味なのかも聞かされていた。
だが、陽の知っているそれらの事柄は全て死んだ者のにのみ当て嵌まることなのだ。
ただでさえ混乱していた陽の思考がさらにぐちゃぐちゃの状態になる。
「……俺は前世で命の均衡をとらずに転生したらしくてな」
そんな陽を見て、月山は説明を始めた。
「だから俺は生きているうちからそのつけを払ってんだよ。それが生き神ってわけ」
月山の説明で、なんとなくだが理解ができた陽。
「…じゃあ、あの黒い怪物は?」
「あぁ、あいつは黒。俺達はそう呼んでる。あいつらは、虫や菌類なんかの人ではない魂がいくつも集まってできたものでな」
その説明を聞いた瞬間、陽は先ほどの光景が何なんだったのかが分かった。
「じゃあ、もしかしてあの黒い砂は……」
「察しがいいな。その通り、あの砂のひとつひとつが魂なんだよ」
「でも、なんであいつは俺達を襲ったんだ?」
陽の質問に、月山は視線をそらし言葉を濁す。
「まぁ…俺達っていうより、お前を襲ったんだけどな」
「……は?」
さらに月山は衝撃の事実を陽に告げる。
「黒は鬼を喰らうんだよ」
「はあっ!?」
さらに驚く陽。
「な、なんで?」
「いや、俺に聞かれても……なんでか、そうゆうもんなんだよ」
「あ、危ないな……」
陽の脳裏にもしあの時喰われていたら。という想像が浮かぶ。
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