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「まぁ、おあいこだろ。こっちは白に狙われてんだから」
「白?」
「あぁ。黒とは違って鳥や犬とか割と知能の高い生物の魂の集合体でな。その中には流暢に喋れるやつまでいるんだぜ?」
「そんなのに狙われてんのか。大変だなハハハ」
いくらか落ち着いたのか、この状況で笑う陽。お気楽なのか馬鹿なのか、まぁ月山に言わせれば単純バカなのだろう。
「笑い事じゃねぇだろ。お前だってあいつらに喰われたら魂を飲み込まれて二度と元には戻れないんだぞ?」
「う、嘘だろ」
単純バカにもようやく事態の深刻さがのみこめたようだ。
「まぁ、俺にはコレがあるけどな」
月山は先程の栞を取り出した。
その栞の色は鈍い銀色で、先程の日本刀と同じ色をしていた。
「護神具って言ってな、これは刀になるんだ」
そういうと月山は栞を振った。
すると栞は、一瞬で剥き出しの刃へと変わる。
「へぇ~凄いな」
「凄いなって、お前には角があるだろ……あぁ、まだ生えてないのか」
「なんで無いのかな?」
陽は自分の頭に手をやる。が、そこには角などは生えてはいなかった。
「……さぁな、俺は鬼じゃないからわからん」
月山の声が少しだけ濁ったように、陽は感じた。
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