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「……終わった」
陽の周りに浮かんでいた球はいつの間にか消え、赤黒かった肌も元の色に戻っていた。
「ハァハァ、ゼェハァ。あれ、なんで…息がきれて…るんだ? さっきは…ハァ…いくら走っても…大丈夫…だったのに」
陽の独り言。
だが、その普通の人には聞こえない独り言に答えた奴がいた。
「魂が疲労したんだよ、息がきれる位ですんだんだからラッキーだよ、お前」
「月山……いたんだ」
「どうだったよ、初めての鬼人化は?」
誰が見ても疲れてるとわかる陽に、感想を求める月山。嫌味なやつだ。
「しんどいな、鬼人化は……ん、鬼人?」
「そ、鬼人。お前はまだ完全な鬼じゃないんだよ」
「へぇ~、そう…な…んだ……」
今、陽の視界で月山が横になった。
横になったというのは別に寝っ転がっているわけじゃない、周りの景色ごと90度横になったのだ。
陽は倒れた。
その時に陽の頭の角は砕け散りその破片は消えて無くなった。
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