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「あらら…限界みたいだな」
月山の目の前でいきなり倒れた陽。
すでに点滅している交差点の信号を見て、月山は悩む。
このまま放っておいても陽が人に踏まれたり、車で轢かれたりすることはまずないだろう。
なぜなら霊感の無い人間には鬼や神を認識することはできないないが、無意識のうちに彼らの存在を感じそこを避けて通るからだ。
しかし、中には鈍感な人間もいる。そこに陽が倒れていると分からずに歩く者や、先程の様に車で通過していく者がいるかもしれない。
そうこう月山が悩んでいる間に、信号が赤に変わった。
「フゥ……しょうがねぇな」
月山は陽を肩にかつぎ、ため息をつく。
「本当にこんなのに赤鬼が務まるのか?」
交差点の中心にいた学生は、誰にも気付かれずにその場から消えた。
日は少し西へと傾きだしていた。
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