~病院~

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(…あれ、ここ何処だ?) 陽の気がつくと、目の前は塗り潰されたかのように真っ黒だった。 (真っ暗だ……あぁなんだ、目をつぶっているのか) 陽が目を開けると、蛍光灯と天井が見えた。 目だけを動かして周りを観察する。 (ここは病院……のベット? なんで僕はベットの中にいるんだ?) 「おっ、起きたか?」 月山が陽が寝ているベットの隣に座っていた。 陽は体を起こそうとした……のに、陽の体は動かなかった。 (なんだこれ、金縛りか?) 「無理すんな、初めての鬼人化でボロボロなんだからよ」 (イタッ…どうやらそうらしい、指を曲げるだけでも痛みが走る) 「なんで僕は病院にいんの?」 陽の体の痛みも、喋る分には障害は無かった。 「なんでって、別に勝手に寝かしてるだけだけど?」 「え?だ、大丈夫なのか?それ」 「なにが?」 (なにが?ってふざけてんのかそんな事したら……あれ?) 「……誰もいない?」 病室は個室ではなく6人部屋だったが、陽と月山以外は誰もいなかった。 月山が言った。 「病院には死者がよく出るだろ?だからこういう場所があるんだよ」 陽と月山がいる部屋はいつのまにか6人部屋から個室に変わっていた。 「……なるほど」 陽は納得した、この部屋は明らかに普通じゃない。   「この病院の七不思議の一つ、『蜃気楼の病室』だよ」 「七不思議になってんの?」 「あぁ」 「なんとまぁ、面妖なことで」
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