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夜の駅前の大通り、スクランブル交差点にドッカリと存在しているのは夜の暗闇より暗い暗い色のドームだった。
その表面はズルズルとうごめいていて、その動きはドームの大きさを少しずつ少しずつ小さくしていく。
最初は交差点全てを覆っていた黒いドームも、今は直径3・4m程しかない。
大きさを小さくしていくドームは半円であったり、円錐であったりと、凹んだり出っ張ったりを繰り返して次々とその形を変えている。
だが、急にドームの形状がいびつな物へと変わる。
中からの物凄い衝撃によって。
「オラアアアァァァァァ!」
黄鬼が雄叫びともとれる声をあげながら、黒いドームの中で暴れているのだ。
先程の形とは比べられないほどいびつに成り果てたドームは。
「だあぁぁぁぁ!」
黄鬼のとどめの一撃でついに弾け飛んだ。
辺り一面に四散する黒い怪物。
だが、その半分以上はすでに黒い砂となっていた。
「相変わらず豪快ですね…」
ドームが吹き飛んだ瞬間に飛び出した月山は、自分の周りの黒を切り裂きながら交差点を駆け回っている。
「ハッ『一撃必殺』が俺の好きな言葉『一撃百殺』が俺の大好きな言葉ってなぁ!」
黄色に輝く大剣を豪快に振り回しながら黄鬼が明らかに自分で考えた四字熟語を叫ぶ。
黄鬼の振り回している大剣。
それに切っ先は無く先端は円くなっていて、まるで黄色い花びらのような形をしている。
そんな話をしながらも、襲い来る黒を切り刻んでいく二人。
まぁ正確に言えば、月山は襲われてはいないのだが。
交差点の地面は黒い砂で覆われ、もはや見えなくなっていた。
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