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月山と黄鬼が黒との戦闘を始めてから四分五十秒後。
「オゥラァァァァ」
気合いの雄叫びと共に、目の前にいた黒を縦に切り裂く黄鬼。
「残り…一匹」
黒を胴体を真っ二つに両断する月山。
黒い砂が舞う交差点の光景は、まるで砂時計の中のようだった。
「「ラストォォォォォォ!」」
交差点に残った最後の一匹を二人は前後から挟み、たたっ斬った。
二つの刃がぶつかり合う音が響き、刃と刃の間から黒い砂が地面に落ちていく。
「これで全部か。おい月山、お前は何匹仕留めた?」
「ハァ…ふぅ…に、二十三匹です…」
さすがにこれだけ暴れ回れば息が切るのは当たり前だ。
月山も膝に手をつき、肩で呼吸をしている。
「ハハハッ、不便だな身体ってやつは。ちなみに俺は三十四匹だ」
いつの間にか、持っていた大剣を何処かに消しさり黄鬼は高らかに自分の戦果を告げる。
「そういう…黄鬼さん…だって、黒の体に触れれば、消耗する…はずでしょう?」
「ハハッ、だてに黄鬼は名乗ってねぇよ」
月山に自慢げな笑みを浮かべながら、頭に生えてる黄色い角を指差し黄鬼が言った。
「…ふうっ」
ようやく呼吸を整えた月山。
「しかし毎月の事とはいえ、大変ですよね。この黒掃除」
「まぁな、でもお前はこれがこの世の調整に勘定されてんだから仕方ないだろ」
そんな他愛ない二人の会話の最中、一筋の光が交差点にさした。
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