~夜の街~

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黒い砂が一粒残らず風で無くなった。 「今回の黒の討伐数は……五十七匹ですか」 大天使が言った。 「ですね」 月山がそれに同意する。 「五十七?」 そんな二人とは裏腹に、ただ一人、五十七という数字に疑問を持つ獅子山。 「どうかしましたか?」 「いや、数が合わないんじゃないか?」 黄鬼の討伐数は三十四匹、月山の討伐数は二十三匹。 足せば五十七匹になる……が、最後の一匹は一緒に仕留めたのだ。 つまり、黄鬼と月山が討伐したのは合計で五十六匹のはずなのだ。 「……別に間違ってませんよ」 月山が言った。 「お前…数学苦手か?」 信じられないこれが中三かという様な顔の黄鬼。 「いや、そうじゃなくて。合ってるんですよその数で。昼間に討伐した分もあるんですから」 「あ、なに?他に誰かここで討伐したやつがいんのか?」 「誰かって、陽ですよ。今日の昼間ここで黒に襲われて、その時初めて鬼人化したんですよ」 「は~、そうだったのか、それはさぞ眩しかっただろうな」 「陽というのはあの?」 月山達の会話に割り込む大天使。 「あぁ、そうだよ、あいつは……」 話の腰を折るような間の悪さで獅子山が腰から下げていた火の玉の色が変わった。 「ん、誰からだ?」  
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