254人が本棚に入れています
本棚に追加
「月山、わかってるな?」
「えぇ、もちろん」
「まさかこいつらまで出てくるなんて……予想していませんでした」
黄鬼が月山を少し脅かすように言った。
首筋に冷汗を垂らしながら、月山それは答え、大天使は背中の羽をたたみ、身構えながら自分の失態を愚痴る。
そんな三人の目の前には、夜の闇に浮かぶ薄い輝きを放っている白い人の形が三人分立っていた。
その白い人の形には腕や足がついていて、全体の形は普通の人間と大差ない。
だが顔にあたる部分に口はなく、そこにはテニスボールほどの大きさの白い目のようなものが二個はめ込められていた。
「あはは、逃げるお話?得意なんだよ僕ら…鬼ごっこはさ!」
「ハハッ『鬼』ごっことは言ってくれるな。おい」
白い一人が言った言葉に黄鬼が笑いながら言い返す。
だが、その表情に余裕は無く笑い声も渇いていた。
「はははは、面白かった?でもね、あなたには何の用もないんだ。だから帰っていいよ」
「用があるのはそこの二人なんだよね」
先程喋らなかった残りの二人が続けて喋る。
その声はまるで嫌いな野菜をどけたくてたまらない子供のようにも聞こえた。
「帰りたいのは山々だけどな、この女とは結構長い付き合いなんだよ。それに、あいつの友達をお前らなんぞに喰われるわけにはいかねぇんだ。悪いが、全力でいかせてもらう」
最初のコメントを投稿しよう!