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(黄鬼さんの……全力)
三鬼の全力、月山には想像もできなかった。
「コウッ!」
緊迫しているこの空間に、いきなり響いた声。
その声と共に上から影が落ちてきた。
水野だった。
「……無事みたいだな」
水野は周りを見回し、安心したように言う。
「白が三人か……」
「おい、水野……お前その角はなんだ?」
水野の頭の左右には乳白色の角が一本ずつ生えていた。
「あぁ、これね」
水野は頭に生えている角を掴むと……折った。
パキッと音をたて、乳白色の角は粉々になる。
「なんでそんなもん付けてたんだ?」
角が折れたことにはいっさい反応しない黄鬼。
「陽くんにバレないようにと思ってね、付けてたんだよ」
粉々になった角は中身が無くスカスカだ。
どうやら水野が折った角は偽物だったらしい。
(この状況でこんな会話をできるって、いったいどんだけ……)
「……どんだけ慣れてんだよ」
月山は小声でつっこんだ。
「いらないのが増えた」
三人の白が声を揃え言った。
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