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世界は均衡で成り立っている。
それは例えるならバランスを徹底的に追究した究極の天秤。
宇宙、物、生物、人間関係、世の全てはバランスを保つことで存在を維持している。
そしてその法則は命にも該当する。
人はその一生を生きるとき、自分をつくる。
自分は自分の思う通りに生き、そして死ぬ。
そして死んだ後、人は一生のバランスをとる。
悪人は善行を、善人は悪行を。
つまり
悪人は神に、善人は鬼になるのだ。
神の定めは人や生物を守り助けること。
鬼の定めは人や生物を戒め傷つけること。
それがこの世の掟にして定め。
頭の中に声が響く。
「お前は死んだ。そして鬼になった」
「お前はもう、人ではない」
「これからのお前の定めは悪行を行うことだ」
「それをよく自分の魂に刻んどけ」
とたんに声が止み、静かになった。
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