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最終電車
その連絡が駅に届いたのは、今日の運行電車も後一本と云う深夜だった。
「おい、新入り。最終電車が人を跳ねた」
「えっ!!…」
絶句する新人。
「飛び込みらしい。この駅の少し手前で止まっちまったってよ」
「で、せ、先輩。僕達はどうすれば良いのでありますか?」
こいつ…目に見えて狼狽えてやがる。
「この仕事に着く前に頭に叩き込まれなかったのか?」
「その…ある程度は…」
「まぁ良い。道々教えてやる」
俺達は線路脇に降りて、現場に向かい歩き出した。
「お前、マグロ拾いって知っているか?」
「はぁ、都市伝説ですよね?」
「そうだ。で内容は?」
「その…電車に跳ねられたバラバラになった死体を片付ける高額のアルバイトだと…」
「そうだ。しかしな、実際はいつ起こるか分からない自殺やら事故の死体片付けなんてバイトを毎日待たせておくなんて馬鹿な話しが在ると思うか?」
「あっ…言われてみれば確かに」
「そうなんだよ。事故処理として警察もある程度は片付けてくれるがな、細かく飛び散った死体を片付けるのは、俺達の仕事なんだよ」
新人は言葉も無い。暗くて見えないが、奴の顔は蒼白だろう。
俺自身も昔はそうだったのだから。
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