君にも見える…

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君にも見える…

思えば奴の話を真面目に聞いておくべきだった。 奴は言った。奴だけに見える少女の存在を。 時には私と一緒の時。またある時は一人で居る時に現れる少女の存在を奴は私に熱っぽく訴えかけてきた。 しかし私は奴の言う事を疲れているからそんなものが見えるのだ、と一蹴した。 そしてある日、交通事故に遭い奴は死んだ。 それからだ…私の眼前に奴が見たと云う少女が現れる様になったのは… 街中に現れる少女。雑踏に現れる少女。 私は少女の正体を知りたいが為に少女を追うが、いつの間にか少女は消えてしまう。 いつの日にか私は少女を見ない日は考えられない様になった。必死に少女の後を追い、逢おうと、そして話そうとした。 そんな私に微笑みを残し、追いすがる私の眼前で儚く少女は消えた。 そしてある日、私と少女の毎日に最期が訪れた。 少女を見つけた。人波をかき分け少女に迫る…気付いた時には遅かった…少女がいた場所はプラットホーム…線路上に転がり落ちた私に列車が殺到した。 少女が手を伸ばす…その手を握りしめた私は少女の微笑みに…幸せに包まれ死んだ… 私は少女が死神だと気づいた…だとすれば…君にも見える……
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