奇跡

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「熱すごいじゃない。寝てなさいよ!」 トランクス1枚状態のジュンスの腕を取り、ベッドへと引っ張りました。 そして壁にかかっているジャージを取りジュンスに投げました。 「そんな格好してると余計熱出るから!」 駆け足でジュンスの部屋から出ました。 すぐに氷とタオルを用意し、氷枕を作りました。 冷たい氷のお陰かふと冷静になりました。今さっきの出来事を思い出しました。 「あ・・・。あっ?!」 よく考えるととんでもない事をされていました。 冷たくなった手で自分の唇を触ると熱で熱くなったジュンスの唇の温もりが残っているようでした。 一体あれは何だったのでしょうか・・・。 放心状態になっているといつも間に4人が帰って来ました。 「・・・事故ね・・・。まさかね・・・。」 静かだったリビングが一気にうるさくなりました。 「ただいま。」 「何してるの?」 「えっ?あっ・・・。ジュンスが・・・。熱、すごいから・・・。」 ふと我に戻り4人を出迎えました。 「この前ね、僕達のイベントの日に会場近くで交通事故があったんだって。」 目を見開らいて話すチャンミン。 「ふーん。」 上の空の私。 「若い女の人で、そのまま即死だってさ。」 「それは残念。」 「人が死んだのにそっけないね。」 人が死んだという悲しい出来事なのに全く興味ありませんでした。 「ジュンス、熱すごいの?」 心配そうな表情を浮かべるユチョン。 「うん。あ、これ、渡さなきゃ・・・。」 氷枕を持ち、ジュンスの部屋に向かいドアの前で止まりました。 またさっきの出来事が脳裏を巡る。 思い出しただけなのにまた胸がドキドキします。 深呼吸をし、ジュンスの部屋に入りました。 部屋に入るとジュンスは背中を壁に当てベッドの上に座っていました。 視線を私に向けました。
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