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鳴り止まないクラクションの音。そして蘇った記憶。
全てが私を混乱させている。
両耳を手で塞いだまま座り込み、大きな声で叫びました。
あの日、確かに私はトラックにはねられ、死んだ・・・。
でもどうして今ここにいる?
死んだはずの私がどうして彼らに出会った?
「おかしい、ありえない・・・。」
受け入れ難い事実。そんなの嘘に決まってる。
思わずマンションを飛び出しました。
どれくらい歩いたでしょうか。
気がつくと大きなクラクションの音は消え、気持ちが少し落ち着いていました。
靴もはかず、エプロンをかけたまま飛び出し、ボーっと歩いている私を商店街を飛び交う人達が哀れな目で見ている。
ほら、ちゃんと私が見えている。だからみんな私を変な目で見てる。ちゃんとここにいるんだよ。
何度も自分に言い聞かせながら歩き続けました。
ふと、ガラス張りのお店の前に止まりました。
ガラスには飛び交う人達が映っている。
でも・・・。そこに止まっている私の姿だけが映っていない。ガラスに近づき両手をつけもう一度見ました。
いくら見ても私の姿だけが映ってません。
後ろを振り返り飛び交う人達を見ました。
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