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「いたっ!お、おさないで・・・。ちょっと・・・!」
人ごみに押され、耐え切れず枠から外れました。
「はい、ここで終わりです。出てください。」
「えっ?!」
何時間も待ったあげく、後からの人達に押され結局スタッフに線を引かれ押し出されました。
一目「東」に会いたくて足が痛いのも我慢してずっと立って待っていたのに、こんな始末。ありえない・・・。どうしてこうなる!
泣きそう・・・。
悔しくて怒りが爆発しそうでした。
納得がいかないままあきらめ下向いたまま歩きました。どこに向かってるのか全く分かっていません。
―ドン!
前を見ず歩いたせいか向かってくる人にぶつかりました。
無防備だった私は尻餅を付くように後ろに倒れました。
さらに最悪・・・。
「大丈夫ですか?」
座り込んでいる私に手を差し出す男の人。どこかで聞き覚えのある声。
顔を上げると信じられない光景が広がっていました。
すらっとした格好の男5人が立ち止まっている。
全員の視線が私に向いていました。
私の脳がちゃんと働いているのなら彼らを「東」と認識しているはず・・・。
私に手を差し出している人はユノでした。どうやら私はユノにぶつかったらしい。
私は差し出された手に腕を伸ばし手を握りました。
私の腕を引っ張るユノ。
私は引っ張られながら立ち上がり、自分の目を強くこすりました。頬もつねりました。
「いたっ・・・。」
かなり痛い。
「大丈夫ですか?」
質問に対して声が出ません。ごくりとうなずくだけ。
「かなり痛そうだけど?」
チャンミンが近づいてきました。
「・・・でかっ?!」
初めて目の当たりにしたチャンミンは大きい。
「もう時間です。急いで下さい。」
彼らの後ろからスタッフの声が聞こえました。
「あっ、行こうか。」
ユチョンが先頭を歩き始めました。
「それでは、気をつけて。」
だんだん遠くなっていく彼ら。
「あ・・・。」
止めたいけど、頭の中が真っ白状態で言葉が出ません。
彼らの姿が見えなくなり、気が抜けた私は腰を抜かしたように地面に座り込みました。
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