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ユノに握られた右手を見ながらしばらく呆然としました。
会場からはファン達の歓声や彼らの声・歌声が聞こえてきました。
普段の私なら耳を傾け少しでもたくさん聞こうとしますが、今の私はそれよりユノに握られた右手のほうが大事。
どれくらい時間がたったのでしょうか。尻餅をついたお尻と腰からズキンと痛みが走りました。
「ちょっと!そこで何してるんですか?」
スタッフらしき人は慌てて駆け込んできました。
「ここは部外者進入禁止区域ですよ!どうやって入ってきたんですか!」
怒りをあらわにするスタッフ。
申し訳ない表情をしながら立ち上がりました。
お尻と腰からの痛みが一気にひどくなりました。
「いたっ・・・。」
力がぬける。
「すみません。どうやって入ったか、自分でも分からないんですが、さっきユンホさんとぶつかって・・・。」
「そんな嘘は通りませんよ!早くここから出て下さい。」
スタッフに荒く腕を引っ張られました。
無理やり立たされ、追い出されそうになる私。
でもお尻と腰が痛くてまともに歩けません。
「本当です。せめて痛みがひくまで待ってください。そしたらちゃんと出ますから。」
スタッフに負けじまいとだだをこねる子供のように腰をひき、体に力を入れました。
「何してる!」
出入り口の反対から声が聞こえました。
「部外者が入ってきたんで、今追い出すところです。」
スタッフは私を悪者状態に指差しました。
「ちゃんと歩けてない人を無理やり追い出そうとしないで下さい。」
大きな声で言いながら駆け込んで来たのはジュンスでした。
駆け込んできたジュンスはスタッフから私を離し、左腕を私の腰にまわし、私の右腕を自分の肩にかけました。頭一個分の身長差でななめに持ち上げられ、さらに腰に痛みが走りましたが、そんな事なんてどうでもいいです。
今はジュンスの腕の温もりが大事。
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