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桜舞う春。
新しい出会いに胸をときめかせ、時には不安を抱く…そんな季節。
満開の桜に埋め尽くされたこの『桜花学園』でも入学式が行われていた。
ピンと張った制服に身を包み、新しい環境を肌で感じる生徒たち。
だが皆がそうしていたわけではない。
クラス分けのボードからかけ離れた場所のさらに隅の校舎の陰で、寂しそうにたたずむ生徒がいた。
華奢な体、綺麗に切りそろえた髪、整った顔立ち。
数秒視線を向けただけではどこにでも居る可愛らしい少女にしか見えない、きっと誰もがそう思うだろう。
しかし、その生徒は桜花学園が定めた男子用制服をきちんと着ていた。
その白く細い指で鞄を持ち、先ほどから遠くの方をずっと見つめている。
と、その姿を見た1人の少年が人混みを掻き分け、興味津々と言わんばかりにその生徒に近づく。
そしてその生徒の目の前に立つと、いきなり手を強く握りニヤリと笑った。
「俺が最高の学園生活にしてやる!!」
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