第2話・魔王恥ずかしがる

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「そうだ、メイ」 「なにかの?」 「もう、名前呼んでも良いんだよ」  少年の言葉に、メイは照れた笑みを浮かべながら、おずおずと名を口にする。 「漸く……呼べた……出会いから一年……漸く……」 「メイ……ごめんな…… 今まで……淋しかっただろう?」 「うん……淋しかった……辛かった。 人の名なぞもはや呼ぶ事はないと思っておった……まして、それが愛情深く込めてなど……」  嬉しさと愛しさに、涙を零すメイ。  少年は、その美しい涙を指で拭い。 「今まで……誰が魔王の涙をなめただろうね……」 「ばか……そんなのかつてより今日に至るまで、アーチ……お主一人じゃ……」 「魔王の唇も……体も……愛も……」 「アーチ、お主が初めてじゃ……『魔王』の初めてを……全て――」
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