第2話・魔王恥ずかしがる

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「さて、それでも食わさん訳にもいかんでの――」 ――村の入り口。  藍色の軽鎧、同色の盾・脚甲を身に纏い、プラチナの羽飾りをあつらえたハーフヘルムを被った青年が、アーチに案内を受けていた。 「ありがとう」  青年に付き添う、闇色のマントを羽織った少女もアーチに会釈をし、村の奥へと消えていった。 「……あの子……」 「……浮気は許さんぞ?」 「うわっ!? メイ……脅かすな……」 「冗談じゃ、あの娘……あの魔力、わしは知っとるぞ……  そう、魔王六代を討伐した大魔道師トリス・メギラオ……奴の魔力によう似とる」 「……やっぱり、お前を……?」  その問い掛けに、メイは肩をすくめて『さあの』と答えるに留めた――
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