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――魔王の居城、最上階。
「普通……勇者といえば、物々しい装備で仲間を連れてくるものじゃろう?」
フードを目深に被った魔王に対するは、青年と呼ぶにはまだ足りない若さの少年一人。
「なんとか言わんか……ワシは貴様などを相手にしている程、暇ではない……」
しかし、少年は何も言わず、去るどころか魔王に近寄っていく。
「貴様……」
魔王の手の平に、炎とは違う熱を持つ光球が生まれる。
しかし、それでも平然と距離を更に縮め、いよいよ少年の手が魔王に届く。
「この……!」
放たれた光球は、少年を吹き飛ばし、壁に叩きつける。
だが……魔王は、慌てて頭に手をやる。
少年が掴んだままの、見慣れた布を見た所為で。
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